活用事例/研修実績
Interview
[人事・教育担当者にうかがう、人材育成への取り組み]
お客様に価値を届け
成功を支援するため、
一歩先を見すえた提案が
できる人材の育成を目指す
エプソン販売株式会社
神保 伊知郎 氏
北川 大希 氏/関口 拓馬 氏/山田 優雅 氏/荒木 あずさ 氏
Interview
エプソン販売株式会社は、1983年の創立以来、エプソングループの国内における販売およびマーケティング事業を担う中核企業として、「省・小・精の技術」をベースにお客様の期待を超える商品・サービスを提供するために創造と挑戦を続けてきた。特に近年では、エプソングループの長期ビジョン「Epson 25 Renewed」に基づき、環境負荷低減などの社会課題解決につながる取り組みを推進している。そして、そのような時代に即した企業活動を担う人材の育成にも注力する中で、本年度の新入社員を対象とした、TACの『営業基礎力強化研修』を導入していただいた。今回、人事部門の責任者である取締役経営推進本部長の神保伊知郎氏に研修の導入経緯や評価、将来的な人材育成ビジョンなどについてお話を伺った。 また、『営業基礎力強化研修』に参加した4名の新入社員の方に、研修の感想や学んだことについてお話しいただいた。
―まず御社の事業内容について、基幹事業の変遷などを交えてご紹介ください。
神保氏(以下敬称略):弊社は、エプソングループの日本ドメインにおけるセールス・マーケティングを担当する会社です。1983年5月に設立し、おかげさまで今年で41周年を迎えました。
創業当時は世の中でのPC普及とともに会社も急成長、90年代はカラーIJPやプロジェクターなどのPC周辺機器を軸にさらなる成長を遂げてきました。2000年代はこれまで急成長してきた家庭用IJP市場に陰りが見え始め、当社も新しくオフィス向け市場への転換を図っていきました。2010年代はBtoBビジネスを本格的に始動。オフィスや商業産業向けの製品ラインアップを拡大していきました。2020年は世の中が社会課題起点へと変化し、お客様の志向もモノの所有から利活用へと変化していることから、当社も新たな価値創出として「モノ」の価値に「コト」の価値を付加してお客様にお届けする会社へと変革を進めています。
―御社の求めている社員像や人材育成において重視されているポイントについてお聞かせください。
神保:先ほど申しましたように、弊社の事業がB to Bの領域で拡大したことで、単にオフィス用複合機や商業・産業分野で扱う大型印刷機を迅速にお届けするだけでなく、お客様の困り事に対して要件定義をしっかりして、どういうことに困っているかを深堀りし、一歩先の提案をすることでお客様に喜んでいただき、成功を支援することが重要になりました。そう考えると、営業やマーケティングに携わる社員に求められる素養・スキルも変わるはずで、それに伴って、どんな人材をどうやって育てるかについて、我々人事に係るスタッフの考え方も変わるべきだと思っています。
―TACの新人研修を導入される以前は、どのような研修を実施されていたのでしょうか?
神保:これまで人事部門で行っていた研修は、社会人としての基礎づくりを主眼としたもので、営業パーソンとして必要な基礎知識やスキル養成は現場に任せていました。そのため、配属される現場次第で新人の育ち方に差が出てしまう状況でした。部下の育成が得意なマネージャーのもとでは、新人は基礎力を養うとともに自分が今何をやっているのかを理解しながら成長することができます。一方、昔ながらの「俺の背中を見て学べ」タイプのマネージャーのもとだと、なかなか成長が難しいということが起きていました。
―既存の研修についてどのような課題・問題が提起されたのでしょうか?
神保:私は転職組ということもあり、ある程度、第三者的な視点で弊社の状況を考えることができました。そして、弊社の経営陣を見てみると非常に勉強家が多く、驚くほどよく学び、よく働く人ばかりでした。逆に言えば、「仕組み」によって育ったのではなく、自分自身の弛まぬ努力による属人的な育ち方だということです。そこで、会社としてやるべきことは、「仕組み」によって人材を育て、クオリティの底上げを図ること。それが弊社の企業としての“戦い方”のベースになると確信しました。
もう一つの問題は、新人教育について現場の課長に過度な負担を与えているのではないかということでした。会社の“戦い方”が変わっている中で、課長たちも従来の考え方からお客様に価値を届ける、お客様と一緒に価値を創造していくという思考に頭を切り替えなければならない時に、イチから新人を育成することはかなりの負担になるのではと感じました。
―TACの新人研修を採用された経緯についてお聞かせください。
神保:一昨年ごろから多くの現場責任者たちと人材教育や研修についてコミュニケーションする中で、思っていることは皆同じだと気づきました。弊社には7つの業務本部があり、その内4本部が営業を軸としていますが、扱う製品が違っても、お客様の困り事にしっかりアプローチして、一歩先の提案を行うことでお客様に価値を届け、お客様の成功をサポートすることが会社としての真髄であり、それに応えられる人材を育てたいという思いは各本部とも共通でした。一方、そのために個別に教育・研修を実施することがかなりの負担となっていたのも事実です。それであれば、人事部が統括する形で新人を引き取り、まっさらな状態で営業パーソンとして何をなすべきかという考え方=真髄をインプットしてあげて各部署に送り出すべきだという結論に至りました。その方が以後の成長も加速するはずですし、やるからには各本部で行っていた研修よりもバージョンアップしたものでなければならないと考えました。
実際の導入準備に当たっては、人事部スタッフたちが一生懸命取り組んでくれて、いくつかの会社にオファーを出し、私自身も面談して検討しましたが、なかなかこちらの方向性に合うものがなく難航する中で、TACさんから提案されたプランを見た時、「これだ、こういうのをやりたかったんだ!」と閃きました。
―具体的にどんなところが採用の決め手となったのでしょうか?
神保:社内の営業責任者にも提案書を見せて相談したところ、「これはいいですね!」「こういうことを教えたかったんです!」「やりたかったことを言語化してくれてありがとう!」など、特にベテラン層から多くの共感を得ることができました。また、座学だけでなく、ワークショップを取り入れて頭と手を動かしながら学べるところも大きなポイントでした。
―研修に関する評価と実施後の社員の方々への効果・影響についてお聞かせください。
神保:もちろん、新人の皆さんが現場でお客様に接し、大きな成果を上げるのはもう少し先になると思いますが、新たな試みの確かな手応えを感じています。また、研修参加者には配属先に戻って研修内容を社員の前でプレゼンすることを行ってもらいました。その辺りも含めて、私が各支店を回って対話会を行い、意見を聴いたところ、部長や課長、ベテラン社員たちは「良い研修をしていただきました」「こういうことを教えて欲しかったんです」と評価をいただき、若年層の社員からは「自分たちも受けたかったです」という声が上がり、現場責任者から「今回、受けていない社員たちのインプットも考えて欲しい」という要望があり、こちらとしても嬉しい悲鳴でした。
―今回の研修成果を受けて、今後、どのような研修、人材育成に取り組まれていきますか?
神保:新人の皆さん、現場、そして経営層などの意見を聞きながら、繰り返しPDCAをしっかり回していきたいと思っています。また、現場からは、じかにお客様と接するプログラムを盛り込めないかというリクエストも来ています。例えば、かつて弊社でも行っていた量販店での店頭実習をするようなことですね。短い時間でお客様に価値を届け、失敗や成功を通してどうすればいいか考え、最終的にお客様に喜んでいただくというサイクルを経験することで、研修の内容がより現実的になるのではないでしょうか。
さらに、私の将来的な野望としては、3~4年目ぐらいの若手社員に講師を務めてもらう研修を行いたいと思っています。同世代の先輩から教えてもらうことで、身近なロールモデルとして「自分もこうなりたい!」という思いがモチベーションアップにつながると考えています。また、教える側にとっても一人のプレイヤーから将来のチームリーダーとして成長するために役立つはずです。
会社の“戦い方”が変わっても、お客様に価値を届けて喜んでいただく、お客様の成功を支援するという真髄は不変です。それは、営業に限らずすべての部門に共通するもので、それを実現するための手法をどうするかは時代とともに進化します。お客様の一歩先を行く提案をさせていただくために、研修もさらにバージョンアップしていかなければならないので、今後もご相談させていただきたいと考えています。
―続いて実際に研修を受講した新入社員の皆さんにお伺いします。研修を受ける中で難しかったことや大変だったことをお聞かせください。
北川:アウトプットするプログラムでは、実際に現場に出る前だったので、仮説を立てたり、場面を想定したりするのが難しかったです。
関口:まだ実際の営業経験が無い中で、ロールプレイでお客様への提案を考えるのは確かに大変でした。
山田:私も関口さんと同じで、ロールプレイが難しかったです。限られた時間内にプランを考え、プレゼンするのに常に頭を働かせなければならなかった。あと、4人1グループでの作業なのでチームの中でどう立ち回ればいいのか迷うこともありました。
荒木:最終日にそれまで学んだことを活かしてヒアリングからクロージングまで営業の流れをグループで疑似体験しましたが、営業経験や製品知識が乏しい中でどうやって最後までもっていけばいいのか本当に難しかったですね。
―逆に、楽しかったことや学べたことについてお聞かせください。
北川:営業にとってお客様の悩みや課題など現状をまず把握することが大事だと学びましたが、OJTで上司や先輩に「現状を把握しなさい」とアドバイスをいただいて、それを実感しました。
関口:営業は製品やサービスをうまく説明できれば良いと思っていましたが、研修でお客様の目的を意識しながら会話ベースで話すことが大事だと学びました。先日、初めてお客様に提案する機会があり、研修での学びを活かすことができました。
山田:ヒアリングのケーススタディで、お客様の立場になったことはとても新鮮でしたね。営業される側として何を重視するかを自分で考える経験を通して、自分が営業ならどうお客様に応えるかを考えるヒントになりました。
荒木:私は講師の方に、物事のとらえ方として「何事も5W2Hで具体化するように意識しなさい」と教えられたことが大きかったです。以前は一方通行で自分が話しがちでしたが、研修後はお客様の話の内容を具体化して質問していくことで会話がスムーズになりましたね。
―研修を受けて、業務上で自分の中で変化した点を教えてください。
荒木:やはり具体的に物事を考えられるようになったことですね。
山田:私も同じで、目標を決めるにしても「〇月〇日までに〇〇と会う」「〇月中に〇件の成約を達成する」というように、具体化をすることを現場でも意識するようになりました。
関口:私は優先順位を意識するようになりました。以前は振られた仕事をこなすだけでしたが、今は1日のスケジュールを考えて優先順位をつけることで、効率的に仕事を進められるようになりました。
北川:私も具体化や優先順位づけというところを意識するようになりました。もともと自分の苦手な部分だったので、研修で学んだことで意識して行動するようになりましたね。
―最後に、今後の目標や仕事に対する抱負をお聞かせください。
荒木:研修でお客様へのヒアリングに際して論理的・感情的のタイプ別アプローチを学びました。それを活かして、お客様の人柄を把握してタイプに合わせて営業スタンスを変えていける営業パーソンになりたいです。
山田:お客様に本音を打ち明けていただける営業パーソンになりたいですね。そのために信頼関係の構築やヒアリングの徹底を突き詰めていきたいです。あとは、ヒアリングについては価格などの条件ばかりでなく、お客様が将来的に何を求めているかを大事にしていこうと思います。
関口:まだ担当を持っていないので、まずはアポ取りから商談、受注という流れを早く経験して一人でこなせるようにしたいです。そして、最終的にはお客様から頼りにされる相談役になることがベストだと考えています。
北川:私もまだ担当を持っていませんが、将来は一つの販売店を任されるような営業パーソンが目標です。そして、研修で学んだ営業ノウハウを活かして販売店に頼られるようになりたいですね。
―本日はありがとうございました。
Profile
神保 伊知郎(じんぼう いちろう)氏
2008年 セイコーエプソン株式会社に入社。2016年 EPSON CHINA CO LTDに在籍しコーポレート業務に従事。同社にてディレクター、シニアディレクターに就任し、2021年よりエプソン販売株式会社へ出向。2022年より同社 取締役 経営推進本部長。
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